不可能の代名詞「青いバラ」のお話
不可能の代名詞と称される「青いバラ」。そもそも「青い色素がバラにはないから」と、まことしやかに伝えられるこの逸話。果たして本当でしょうか。
愛好家の世界で青バラといえば、大多数はくすんだピンクを指します。不思議とこの色もまた、黄色のバラができたころに生まれました。ほかの花でも、黄色と桃色系を交配するとくすんだ色ができることが知られていて、バラも黄色が導入されて初めて青や茶色が派生しました。
バラの赤い色を出す代表的な代表的な色素はシアニジンといいますが、その色素単体の結晶は何と青紫で、生命の不思議を実感します。花の中でシアニジンを中心にさまざまなものがくっついて赤色となります。
大手食品メーカーがバイオテクノロジーを駆使し、バラが合成できない青い色素デルフィニジンを花に与え、「青いバラ」を開発しました。確かに今までの青バラよりは青くなりましたが、青空やコバルトブルーのような色には遠く及びません。デルフィニジンがあるだけでは、本当の青にはならないのです。
面白いことに、最近開発された赤いデルフィニウムの花の色素は、やはりこのデルフィニジンです。ヒマラヤの青いケシやヤグルマギクの青は、バラと同じ色素ということが分かってきました。これら青い花は、赤系と淡い黄色系の色素が金属イオンを中心に幾つか集まって、安定した巨大な青い色素を実現しているようです。どうすれば金属イオンを核に集合してくれるのか、本当の青いバラに到達するにはまだまだ宿題が山積みです。
(園芸研究家・村上敏) 2010.3.18福島民報 情報ナビ Time より